よい子のための絶対銀域

例えるなら銀様の膕

As life will be beautiful

最初に注意書きしておくと、(「小説」タグで察せるとは思うけれど)この記事の内容は普通に”ノンフィクション風の創作”で、確かに記述の一部は事実を下地にしてるけれども、すごい割合でフェイク情報を混ぜてあるから原型が残ってない。なので、投稿内容に関して他の場所で話しかけられても多分”いい返し”は出来ない。

明らかに特定の個人にしか向けてない意味不明な前置きはこの辺にして、僕が知り合い*1に「彼氏いる?」と聞いて、「いる」と返ってきたときの話をしたいと思う。毎回”知り合い”と表現するのも何となく気持ち悪いので、以降はこの相手を”A”と呼ぶことにする。


Aに「彼女いる?」と聞かれたのがちょうど去年の今頃。ずっとこっちからも聞くぞ聞くぞウオオと思いながら気が付けば1年も経っていて、つい先日、雑談の最中に多少強引な流れとは言えやっと聞き返せたってワケ。
不思議と悲しいとか悔しいとかは感じなかった*2。なんかこう、潔くて漢らしさに溢れるようなカッコいいアレじゃなくて、前後の会話の記憶が虫食いなのを鑑みるに単純に放心状態になってた可能性が濃厚だけれども。


ところで、
僕は常日頃から”愛には本能と理性があって、どちらに基づくかで恋愛が手段なのか目的なのかが決まる”って主張をしてきた。
幸せとは何か?みたいな難しい議論はおいといて、愛情は他人の幸せを望むところから始まると思っている。
“二人で幸せになりたい”が本能、“あなたに幸せになって欲しい”が理性、ってワケ。そして、愛情においては“相手を幸せにする”のが目的で、そのための手段が恋愛においては“付き合う/結婚する”ってワケ。恋愛関係にない親子が矛盾せず愛し合えるのはこういうワケ。
ある程度文章が読める方なら分かると思うけど、本能と手段は同時に成立する一方で、本能と目的は必ずしも同時に成立するわけでは無い。自分の思想ながら僕はここを勘違いしていたようで、理性的に考えると「手段の主格は自分=僕でなくていい」んですね。
だから、「彼氏がいることを知ってもAを諦めきれない」って心象を「=まだ恋愛的な挑戦を止めたくない」と読み違えていたんだと思う。*3


ちょっとした日記。

当日の夜。
どんな偶然なのか、フォロワーの恋愛相談CASにコメンテーター*4として呼ばれて、案の定配信時間の1/3くらいは僕が精神崩壊発狂トークを颯爽と披露する羽目になった。肝心のフォロワーの相談内容としてはマッチングアプリで出会っためっちゃ話の合う子が可愛すぎてつれぇ〜〜〜wみたいな内容で、数ヶ月前の自分を見ているようだった。

その直後、深夜。
僕のフォロワーにしては珍しくまとも(どれくらいまともかというと、既婚)な人に突発的な人生相談通話をかけた。コミュニケーション的にめちゃくちゃな“強者”であるフォロワーさんですらも「相手がいるなら諦めた方がいい」と言っていたが、やはり諦めきれず、“進んでいく”方向性でも色々と助言を貰った。「相手なんて世界にいくらでもいる、他の人も見てみるべき」ってのは確かに正論だけれども、それでも(バナージリンクス)。こういう知り合いとの関係性は今のhitoligokkoじゃ新規に結べそうにもないので大切にしたい。


こういうやり取りを踏まえて、他の人間にも目を向けるためにマッチングアプリで色々な人と関わってみよう!って考えた。

で、マッチングアプリ『タップ・プル』を始めてみたんだけど、結局はAが代替不可能な“個人”である事を再認識しただけだった。
“個人”は一人しかいない故に個人で、特定の誰かを基準に他人を見ている限り“妥協”にしかならないという真理への到達。何かしらAの下位互換なプロフやら写真やらを左フリックし続けてたらメンタルが不穏になってきたので慌ててアンインストールした。マッチングアプリは恋愛を目的にしてる人が使うべきで、手段として捉えている僕には感情増幅装置でしかなかった。


”増幅した”という感覚だけが残り、何が増幅したのかすらよくわからないままどうしようもなくなった僕は、Aとは違う方向性の人と関わることにしてみた。
知ってる人も多いだろうけど、『爆チャイ』っていうサイトがある。ここは地域の人々の情報交換を目的に作られた掲示板で、物理的にローカルな情報がたくさん載っている。で、その爆チャイの公園とか銭湯とかのスレには結構な頻度で例えば「179/69/23」みたいなスタッツが張られてる。
タッププルは出会える相手が登録時の性別で制限されており、つまり男性である僕はシステムレベルで”異性との出会いを求めている女性”としか出会えず、結果としてAと比べて勝手に萎えてしまう。こんなんじゃ対話が出来るわけがないし、そもそも相手に失礼。
僕は爆チャイで募集をかけ、近所のホームセンターのトイレでマッチングすることにした*5


タップル成立した相手(167/80/32 以下”32”と呼ぶ)が「あと10分くらいでつきます!」と書き込んだのを確認して、小便器で排尿のモノマネをしながら、暇だったのでこれまでに自分がDisco鯖に書いた日記を初めから読み返すことにした。
何言ってんだこいつwみたいな自虐をするつもりだった。
マジで涙が止まらなかった。
”尿より涙を小便器に流す人”になった。
鯖で日記を投稿し始めたのは今年の一月だから、Aとの思い出を全部書き残してたわけじゃないけど、それでも以前の僕は、些細なコミュニケーションを楽しんでて、しょーもない嫉妬もたくさん書いてたけど、それでも日常の日常性と真摯に向き合えてて、LINEの返事が来たってだけで心の底から喜べるような奴だった。
「ご飯とか普通に一緒に食べるようになってから日記の熱量が減ってきた気がするにょねw」ちょっと前に鯖の参加者にそんなことを相談して、でも内心では「でもそれがいいw」みたいなことを考えていた、気がする。それはよくないだろ

時間こそめちゃくちゃかかったけど、順調に仲良くなれて、徐々に僕はAを舞台装置みたいに見ていたのかもしれない。
去年の今頃の僕は実際しょーもなかったし、Aと会うたびに馬鹿みたいにキョドってたけど、でもAと”対話”をしようとしてた。世界には色んな人が生きていて、僕もAもその中の一人ずつだってことをちゃんと弁えてた。ご飯を一緒に食べてくれるのがどれだけありがたい事なのかちゃんと分かってた。
正確な時期は忘れたけど、通話で惚気話をしていた友人に「お前は自分を主人公だと思っとるんか?」と言われたことを思い出す。
僕の主観では僕が主人公で、だから僕は選択肢を間違えないように間違えないようにと慎重にシミュレートしながら生活してきて、前提自体が間違ってることから目を逸らしてきた。「まずは彼氏の有無を確認汁!w」なんて言われても「いやいや、いたとしたら恋愛をする気があるってことだからワース*6w」とか言いながら「で、どうやって映画に誘っちゃおうカナw」みたいなことばっかり考えていた。
”彼氏がいるのに映画に誘われるA”じゃなくて”Aに彼氏がいることを知ってしまうかもしれない自分”を労わってた。「Aには幸せでいてほしいにょね~」とか言いながら頭の中ではその傍らに自分をクソコラしてた。
幸せにしたいのは”自分”でしかなくて、そのためにAを利用しようとしていた。
理性も本能も、目的も手段も全部ごちゃ混ぜにした挙句自分が傷つかないように立ち回ってた。


色んな思考が頭の中を飛び交った。トイレの片隅で号泣していて、気が付くと手を洗うあたりに32が立っていて、僕はもう何も分からなくなって、しどろもどろになって32に滅茶苦茶なことを言いまくった*7
気が付けば、僕はホームセンターの脇にある公園の花壇の縁に32と座っていた。
Aを完全に”付き合いたい相手”としてしか見れなくなっていて、それでAに彼氏がいたもんだからパニクって他に彼女を探そうと思って、それもダメだったから男で承認欲求を満たそうとした、みたいな話をした、と思う。
話があまりに膨大過ぎて、そして僕が号泣しながら話したせいで、正直32も意味が分からなかったと思うが、最後まで(というより僕が落ち着くまで)話を聞いてくれた。
別れ際に缶コーヒーを一本貰った。


Aはコーヒーが好きでよく飲んでいて、僕も真似して飲もうとしたけど苦すぎてダメだったことがある。
カップの縁に口をつけてすぐミルクと砂糖を追い注文したらめちゃくちゃマウントを取られた。
Aは何か飲んでいる時に割と頻繁にむせるので、僕もそれにつられてよくむせていた。
僕はこしあん派なんだけどAはつぶあん派で、不毛な議論をした。
だから最近はずっと、選べるときはつぶあんを選んでいた。


これはちょっと前に食事をした時の記憶なんだけど、その日の日記には書いてなかった。
二人で話してる時に男子が一人混ざってきて嫌だなァと思ったことは書いてあったのに。
”二人で話している時に男子が一人混ざってき”たらAは不幸になるのか?

暖かい缶を握って歩いていたら、そういえば手を繋いだことも無かったのを思い出した。
フォロワー夫婦に「ボディタッチとかはあった?」と聞かれて「物を渡すときに指が触れたことは…」と言ったら大爆笑していた。
そりゃ笑うわ


そうだうれしいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷がいたんでも
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ
今を生きることで
熱いこころ燃える
だから君はいくんだ
ほほえんで
そうだうれしいんだ
生きるよろこび
たとえ胸の傷がいたんでも
ああ
やさしい君は
いけ みんなの夢まもるため

なにが君のしあわせ
なにをしてよろこぶ
わからないままおわる
そんなのはいやだ
忘れないで夢を
こぼさないで涙
だから君は飛ぶんだ
どこまでも
そうだおそれないで
みんなのために
愛と勇気だけがともだちさ
ああ
やさしい君は
いけ みんなの夢まもるため

フォロワーのみんなに感謝
Disco鯖「日刊しあたん」の読者たちに感謝
ホモのおっちゃんに感謝
Aに感謝
感謝
ありがとう

Life is still beautiful

サムネ

*1:知り合いと表現はしたものの、おそらく友達ではあるだろうし、もしかするともう少し親密な関係性だと思ってくれているかもしれない。便宜上の表現

*2:所謂BSSがめちゃくちゃ苦手な人種なので身構えていたが、今のところそこまで痛くは無い。知り合い曰く僕は遅効性らしいんで引き続き警戒はするけども

*3:このタイミングで相談を受けてくれたフォロワーの方々、支離滅裂な無理難題を吹っかけてしまって申し訳ありませんでした……

*4:張本人にそう呼称されたのでこの語彙を使うが、辞書的な意味でのコメンテーターよりはギャグ的な意味が強い

*5:スタッツの最後の数が20番台なだけで一定の需要は見込めるらしい

*6:過程はどうあれ結果的に価値のある行動のこと

*7:当事者の僕は覚えてないが、とにかく滅茶苦茶なことを言いまくっていたらしい